村上の食 第1回。山北の赤カブ漬け、焼畑が育てる冬の保存食
山北の焼畑で育てる赤カブを、冬の保存食として漬ける。家ごとにちがう味と、適度な歯ごたえと辛み。村上の食の入り口。
食べる 提供なし(自主取材)
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秋が深まると、山北の山あいでは赤カブの季節が近づきます。杉の伐採跡地に火を入れた焼畑で育て、長い冬の保存食にする——それが、山北の赤カブ漬けです。
焼畑と、山北の赤カブ
市の特産案内では、山間地の杉伐採地を利用した古来の焼畑農法で赤カブを栽培している、とあります。焼畑で育った赤カブは実が引き締まり、色が良くなり、漬物の原料として適している、とのこと。適度な歯ごたえと辛みが自慢だ、と市も観光協会も書いています。
観光協会によると、村上市の山北地区は県内有数の林業地で、焼畑は植林と深く結びついてきました。山を持つ家が杉の伐採跡地を貸し、借りた家が植林を手伝う——そんな仕組みがあった、と紹介されています。
農水省の郷土料理案内では、山形県との県境に位置する山北地区で、8月中旬頃に焼畑が行われ、そこに種を蒔いて赤カブを育てる、とあります。焼畑は耕地の乏しい山間部でよく行われていた農法ですが、時代とともに衰退し、現在では村上市山北地区、山形県鶴岡市(旧温海町)、宮崎県椎葉村でみられるだけになった、と観光協会と農水省の両方に書かれています。
栽培適地については、山北地区と山形県鶴岡市の山地だけが適地といわれ、他所の地域や畑では独特の赤色が出ないといわれる、とのことです。
晩秋から冬へ、漬ける
市は主な出荷時期を10月上旬〜12月上旬、農水省は晩秋、寒さが増す11月頃に収穫、と書いています。どちらも秋から冬にかけて、という時期感で重なります。
収穫した赤カブは丁寧に下処理をして漬けられます。観光協会は、長い冬のあいだに食べられる保存食として食卓に欠かせない、と紹介しています。農水省も、雪深い地域では長い冬の保存食として食べられていた、と記します。
漬け方や味つけは、家ごとにちがいます。 農水省は、各家庭で配合が異なり、時期によって温度・湿度も変わるため出来上がりは少しずつ違う、と書いています。「正しい作り方」は一つではありません。
調味の一例として、農水省は塩・酢・砂糖・焼酎を合わせた調味液に漬け込む酢漬けを紹介しています。地元・笹川流れの海水から作った塩で漬けることもある、ともあります。
切り方も、早く食べるなら薄切りや千切り漬け、長く置くなら切り漬けや丸漬け、と農水省は分けて説明しています。できあがったものは、そのまま、またはお茶請けにいただく、とのことです。今も、赤カブが採れると家庭でつくられている、と農水省は書いています。
冬の食卓へ
焼畑の灰の上で育った赤カブが、家ごとの味に変わる。山と冬の暮らしが、一枚の漬けものに重なっています。
つづく。次回は、赤カブを育てる焼畑のしごとを取り上げます。
出典
出典・開示
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